商店街研究会 10月度例会 商店街でのIT活用術
城西支部 鈴木 隆男
商店街研究会10月例会では、TITC合同会社 代表社員 中小企業診断士/ITストラテジストの富田良治会員が、商店街でのIT活用術について事例を交えながらZoomで講演を行った。
1.商店街のIT活用で必要なこと
(1)キャッシュレス対応
もはやキャッシュレスは当たり前で、現金での買い物は行わない時代である。企業との取引がある場合はインボイス対応が必須で、課税事業者登録とインボイスの発行が必要になる。そのため、POSレジや会計ソフトの導入が必須になる。キャッシュレス対応は、商店街としてではなく個店の導入になる。
キャッシュレス対応のお勧めの構成は、Airレジ+Airペイの組合せで、Airレジは無料で利用でき、Airペイを導入するとiPadがもらえるキャンペーンをかなりの頻度で行っているため、実質無料で導入できる。導入の障害となる決算手数料は、顧客サービスと捉えるべきである。
(2)SNS活用による情報発信
SNSを活用できない店主が多いが、SNS活用に取り組んでいる事業者との格差は大きくなっている。商店の認知向上にはSNSが重要で、ホームページでは認知向上にはつながらない。
とにかくSNSに触れてもらい、SNS活用のメリットや怖くないことを伝え、楽しんでもらう。アカウント作成から投稿までを支援する。推奨のSNSはインスタで、画像だけでも簡単に投稿でき、今はショート動画の時代で簡単に作成できる。FacebookやTwitterよりハードルが低く、フォロワーを増やしやすい。若者はインスタで検索する人が多く、認知度向上に効果的である。
2.支援者として必要なこと
まずは自分でITを活用すること。SNSによる情報発信、IT活用による業務効率化、自分で使っていないと勧めることもできない。IT化できない商店街は生き残れないため、商店街のIT化を支援しましょう。
3.商店街ホームページ作成支援の事例
(1)A商店会の概要
M市小山周辺にある商店街で、店舗は広い範囲に点在、商店街HPはない。商店街の情報発信、認知度向上による売上向上が目的である。
(2)実施した支援
1回2時間の支援を5回行った。最初は、①課題の整理、②SNS活用講座、③ホームページ構成案の提示、④ホームページ構築業者からの提案へのアドバイス、⑤作成したHPに対するアドバイスを行った。
(3)ホームページ作成支援のポイント
①店舗情報の継続的な更新が必要
ホームページを作って終わりにしないこと
②個人に依存しない運営体制を作ること
ITが得意な事業者(会員)に集中することを避ける。個人に依存するといずれ更新が停滞する。導入業者に依存しないで各個店が更新を行うことが理想である。
③SNSと連携した取り組みにすること
情報発信にSNSの活用は必須である。すべての個店がSNSを活用できるのが理想である。
4.現代版駄菓子屋「富田商店」の取り組み
府中市晴見商店街に10月9日にオープンした商店。例会の翌日であったが盛況であったとのメールをいただいた。府中市晴見商店街は、府中市の中心市街地から離れた場所で、店舗数は20店舗ほどだが、生鮮3品が揃っている。富田商店の事業概況は、①健康志向お菓子の販売、②健康志向ドリンク販売、③懐かしおもちゃの販売、④カプセルトイ販売、冷凍惣菜販売、⑤子供向けロボットプログラミング教室である。オフィスAZ(飲食)が冷凍惣菜・お菓子を供給、AIロボットコミュニケーションが子供向けロボットプログラミング教室のロボット&教材を提供している。
(1)補助金の活用
①もの補助(デジタル枠)750万円、②小規模事業者持続化補助金200万円、③感染症対策補助金200万円、府中市販路開拓助成金30万円を利用して運営している。
(2)晴見商店街の課題
バブルの時は良かった。商店街活性化は他人頼み。日曜・祭日は休み店舗が多い、キャッシュレスが利用できる店舗はないなど、過去から変わろうとしない。商圏内の人口は5千人超、近隣にスーパーはなく、コンビニはつねに混雑していて、市場のニーズを取込めていないなどの課題がある。
(3)富田商店のチャレンジ
①子供たちが集まる賑やかな場所を創出することで、自然と商店街は活性化する。
②オリジナル鯛焼きを制作中で、湯葉鯛焼きの冷凍販売を行う予定である。
③空き店舗に仲間を誘致、府中市場の復活、子供支援NPOと連携、学習塾経営者と連携する。
などの取り組みを行っている。