「『経営者が腹落ちする』経営力再構築伴走支援を考える」セミナー開催報告
2022年度 城東支部スキルアップセミナー 第1回
城東支部 矢吹 卓也
11月21日(月)、「城東支部スキルアップセミナー」の第1回がZoomを使ったオンライン形式で開催されました。本セミナーは、城東支部会員に対し、中小企業診断士として役立つ情報を提供するとともに、城東支部のプロコン塾である城東スキルアップのOBOGがセミナー講師として登壇し、講師力の向上につなげることを目的に昨年から始まった取り組みです。セミナー参加者から講師が様々なフィードバックをもらえるよう、城東支部会員同士という気安さを活かしつつ、定期的に開催しています。本年度は、大口憲一会員による、「『経営者が腹落ちする』経営力再構築伴走支援を考える」と題した講義からスタートとなりました。
経営力再構築伴走支援は、伴走支援の在り方検討会が令和4年3月に発表した「中小企業伴走支援モデルの再構築について」で提唱された取り組みです。「今後、ポストコロナ時代を迎えるに当たって、中小企業、小規模事業者においても『経営力そのもの』が大きく問われることになる。経営者自らが、環境変化を踏まえて経営課題を冷静に見極め、迅速果敢に対応・挑戦する『自己変革力』が求められている。」と指摘した後に、自己変革力を経営者が独力で身に着けることは難しく、中小企業診断士のような第三者が伴走支援を行うことの効果や必要性を述べています。
今回は、その中から経営力再構築伴走支援モデルについて、ご自身の経験も織り交ぜながら解説いただきました。
最初に、公的支援機関で中小企業診断士を対象とした専門家派遣のコーディネーターをされている講師自身の実体験についてお話しいただきました。派遣された専門家が、自身が良いと思う解決策を経営者に一方的に押し付けた結果、経営者が考える経営課題の解決につながらず、クレームになった事例が報告されました。
次に、経営課題の解決には、経営者の当事者意識を伴った行動が求められるため、経営課題に対する経営者の腹落ちが必要であるとの説明は説得力がありました。
そして、中小企業診断士が、経営者に経営課題の腹落ちを促す方策についての解説があり、経営力再構築伴走支援モデルの3要素である、①対話と傾聴、②自走化のための内発的動機づけ、③支援手法(ツール)の使い分け、についてお話しいただきました。特に、経営者と対話する際の心構えとして、「経営者自身に関心を持つ」「最初の段階でアドバイスをしない」「経営者が話すキーワードに焦点を当てる」という講師の実体験も踏まえた提言は、参加者にとって有意義なものとなりました。
最後に、参加者からの「専門家派遣の依頼側が安心してお願いできる専門家とは」といった支援現場を想定した質問について、講師と参加者が活発な質疑を行い、盛況なうちに終了となりました。講師を務めた大口憲一会員からも、「セミナーの内容について色々フィードバックをもらえて、講師としてのスキルアップにつながるセミナーになりました」との評価を頂きました。
能力開発推進部は、このようなセミナーを今後も開催することで、城東支部会員のスキルアップに取り組んでまいります。