1. HOME
  2. Members
  3. 商店街研究会4月例会~令和5年度東京都商店街関連施策と補助金について~

商店街研究会4月例会~令和5年度東京都商店街関連施策と補助金について~

高円寺純情商店街

城西支部 鈴木 隆男

商店街研究会4月の例会では、都産業労働局商工部から講師をお呼びして、令和5年度東京都商店街関連施策と補助金についてのお話をお聞きした。

1.都内の商店街の現状について

コロナによる商店街への影響とデジタル化の推進について調査が新たに行われた。

(1)コロナによる影響について

来街者の減少が多かったと回答した商店街が多い。イベントの中止や規模の縮小による開催をしたと回答する商店街も多く、イベントの中止などが来街者の減少につながった。

(2)デジタル化の推進について

ホームページを開設している商店街は、回答数の過半数を超えたのに対して、キャッシュレス化を実施したのは、1/3ほどの商店街にとどまる。また、これからキャッシュレス化に取り組むと回答した商店街は、回答数の20%ほどになる。デジタル化の課題として人材不足と回答した商店街は、2/3ほどになった。

(3)商店街活動の課題について

役員の高齢化(60歳以上)と回答した商店街は、回答数の2/3ほどになった。また、後継者不足と回答した商店街は70%近くになった。今後の活性化の課題について、会員の協力と後継者の育成と回答した商店街が多数を占めた。

2.商店街振興施策の概要について

商店街の活性化と魅力的な個店の増加の2つが施策の柱となる。

(1)商店街の活性化施策

  • 普及啓発では、東京商店街グランプリの開催で都内商店街や個人等の優れた取組を表彰する。
  • 商店街リーダー実践力向上塾では、受講生が活性化計画を策定できるよう支援する。
  • 商店街ステップアップ応援事業(市場調査、計画策定支援)では、商店街が事業の前段階に行うマーケティング調査等に必要な経費を支援する。
  • 政策課題対応型商店街事業等では、商店街が行うイベント、活性化に向けた取組や、都の行政課題の解決等につながる取組を支援する。
  • 商店街デジタル化推進事業では、商店街のデジタル化を支援する。
  • 防犯設備補助事業では、商店街の防犯対策(防犯カメラ等の設置)を支援する。
  • 商店街無電柱化推進事業では、無電柱化にともなう地上設備(トランスボックス)にラッピングする区市町村を支援する。
  • 未来を創る商店街支援事業では、計画策定から実行支援まで一気通貫で3年間伴走支援を行う。
  • 専門家派遣では、ステップアップ応援事業 (①区市町村からの派遣、②東京都商店街振興組合連合会からの派遣)と商店街パワーアップ作戦(公社からの派遣)を実施する。

(2)魅力的な個店の増加

  • 中小・小売商業活性化フォーラムでは、店舗の経営に役立つ基調講演、セミナーなどを実施する。
  • 商店街起業促進サポートでは、講義、グループ討議などの実践的な研修や専門家等によるアドバイスを受け、受講者の開業に必要なスキル取得を支援する。
  • 商店街起業・承継支援事業では、商店街で開業、事業承継を希望する者に対し開業資金等を支援する。
  • 若手・女性開業支援では、繁盛店視察、チャレンジショップ(創の実)、開業助成のため開業資金などの支援を行う。
  • 商人大学校では、店舗の経営に役立つ実践的な講義を実施する。
  • 専門家派遣では、商店街スキルアップ作戦で公社からの専門家を派遣する。

3.主な個別の支援策について

(1)未来を創る商店街支援事業

「新たな商店街づくり」に積極的に取り組む商店街に対し、グランドデザインから計画実行まで3か年にわたり、一気通貫で支援を行う。補助金(限度額)は、調査事業100万円(1年目のみ)、計画実行事業1年目:1,500万円、2年目・3 年目:5,000万円で、専門家による伴走支援が行われる。

(2)政策課題対応型商店街支援

都が直面する行政課題の解決に取り組む場合(環境負荷軽減のための街路灯のLED 化、買物弱者支援など)に補助金(限度額)1億2千万円の支援がある。ソーラー・ハイブリッド型街路灯の設置などを条件に、既存のLEDから新たなLEDの交換が可能になり、この場合15%以上の消費電力削減の証明が必要になる。

(3)商店街デジタル化推進事業

キャッシュレス、アプリ開発などのデジタル化を支援に補助金(限度額)1,000万円を支援する。

(4)専門家派遣

ステップアップ応援事業(①区市町村からの派遣、②東京都商店街振興組合連合会からの派遣)、商店街パワーアップ作戦(公社からの派遣)が行われる。

(5)開業支援(チャレンジショップ)

チャレンジショップ(創の実):商店街で開業を希望する若手・女性が販売経験などを積むためのチャレンジショップを自由が丘と吉祥寺の2か所で運営している。

(5)開業支援(補助金)

  • 商店街起業・承継支援事業では、商店街で開業、事業承継を希望する者に対し開業資金等を支援する。
  • 開業助成では、商店街で開業を希望する若手・女性に対し開業資金等を支援する。条件として出店を予定する商店街の理事長等の代表者から確認を受けていることが必要である。最近の申請者は飲食サービス業が約4割で最も多くなっていて、採択の倍率が上がっている。

4.令和5年度都の商店街振興予算について

令和4年度と同規模の約51億円になる。

(1)商店街の意欲的な取組を支援

  • 商店街デジタル化推進事業の支援件数の拡充では、20件から40件になった。
  • 政策課題対応型商店街事業の「環境」メニューの拡充では、補助率が 4/5から9/10になった。

(2)商店街活動の基盤づくりを後押し

  • 従来の「イベント事業」に「組織活力向上支援事業」が新設され、補助率は都が7/12、区市町村が1/3、商店街が1/12になった。
  • 「若手・女性リーダー応援プログラム」の支援件数の拡充では、20件から30件になった。

令和5年度の東京都の商店街関連施策と補助金は、コロナ後、デジタル化の推進、若手・女性の開業などに対する支援策が充実している。

関連記事

アーカイブ