中小企業施策研究会月例会 「商店街振興のための取組み事例と未来を担う渋谷の若者支援について」
中央支部 柴﨑 哲也
8月9日(水)の例会では、商店街振興のための取組み事例を取り上げました。講師として、渋谷センター商店街振興組合・宇田川町会常務理事 鈴木大輔氏をお招きし、「商店街振興のための取組み事例と未来を担う渋谷の若者支援について」の演題でご講演いただきました。商店街での若者支援という独自の視点を通して商店街の振興に取り組む当事者からの講演です。以下、講演の要点です。
1.活動の背景:同氏の父親が経営する会社を立て直すべく、街・地域との関わりを深めることでの人脈形成がまず必要との認識から、商店会への参加と同時に、あらゆるイベントに積極的に参加して奉仕し続けました。結果、5年後には仕事の依頼も来るようになり、渋谷区の商店街振興における活動の貢献度が認められ、事業会社・団体の役職に就くと、自らイベントの企画・運営をプロデュースし現在に至っています。同氏の行動指針は「動く」こと。特に青少年の育成の面で「躊躇する前に行動すること」の重要性を説いています。
2.同氏が所属する団体や立ち上げた企業の活動を一部ご紹介いただきました。
①渋谷センター商店街振興組合:イベント企画 (例)週一回の夜警
②渋谷新聞・原宿表参道新聞:中高大学生が活躍するヒトにフォーカスしたオンラインメディア
③一般社団法人渋谷区SDGs協会:ヒトと企業・団体を繋げる活動 (例)こども食堂
④株式会社まなぶや:中高生の将来の選択肢を増やす活動
(例)全国の中高生が参加する起業体験型育成プログラムの開催
⑤スポンジ:「若者がつくる、みんなで吸収しあう場所」
(例)夕方になると学生がフラッと集まるたまり場にしている
⑥東京商工会議所 渋谷支部 青年部副幹事長
⑦(公社)東京青年会議所 渋谷区委員会 第45代委員長
⑧(公社)渋谷法人会青年部会 幹事
⑨株式会社シブテナ 代表取締役会長
⑩太平洋商事株式会社 代表取締役
3.渋谷センター商店街が抱える課題
(1)「ゴミ」問題:毎月226万人が来訪するセンター街から年1,315袋(1袋70L)のごみが排出される。
ゴミの「ポイ捨て」は後を絶たず、商店街ではポイ捨てごみの種類およびその数量を読み取った結果を見える化している。
年間432万円の費用を計上して、①閉店後の路上、②自販機前、③座れるコーナーを中心に毎朝2時間かけて清掃している。
(2)渋谷センター街の保安・美化: 「汚い」「臭い」「怖い」のイメージ改善運動の一環で宇田川クランクストリート(私道)で「公認ストリートライブ」や「子供のサッカーイベント」を開催している。
(3)高齢化:商店街役員の高齢化が進みマンパワーに懸念がある。若手との間で意思疎通がうまく図られていない状況にもあるため交流会を通じたコミュケーションの場を設けることを積極的に提案している。
(4)土産品の開発:インバウンドが進み外国人観光客が増える中、彼らの回遊路はスクランブル交差点→ハチ公前→マクドナルド前交差点→→PARCO間で渋谷区内に滞留する時間は必ずしも長いとはいえない。この解決策として高単価・高付加価値の土産品の開発に取り組み、大島紬を織り込んだ紙面を用いたポスター、カタログを製作している。
4.会員からは街づくりにおける東急グループなどの大型店と商店街の個店との軋轢を埋めるための方策や個店の商店街に参加するメリットについて質問があり意見交換がおこなわれました。商店街活性化のためには若手の意見がもっと求められるべきであると改めて認識しました。