城西プロコン養成塾(JOPY)19期第4回講座開催・受講報告
創業を軌道に乗せるためのコンセプトメイキングと資金繰り
城西支部 日置 尚義
残暑厳しいなかでの商店街診断を乗り越え、気持ちの良い秋晴れとなった10月21日(土)、JOPY19期 第4回講座が開催されました。
第一講座は税理士・中小企業診断士の黒澤尚生会員による「中小企業の資金繰り」でした。資金繰りの重要性を踏まえたうえで、資金繰り表の作り方、実務レベルのキャッシュフローの計算方法、資金調達方法について基礎から改めて学びました。経験が豊富な黒澤会員による「資金繰りを適切に管理できている中小企業は想像以上に少ない」「もし〇〇してしまうとこんなことになってしまう」という事例を交えたお話は大変リアリティがあり私自身が経営者ではないにも関わらず身が引き締まる思いでした。また、資金調達方法については緊急時の資金繰り確保方法にまでおよび、優先事項を具体的にご指導いただきました。
補助金の申請支援などによる資金調達がフォーカスされている昨今ですが、実務としては顧問先や区の商工相談員として受ける事業者からの相談や、経営革新等支援機関として経営改善計画や早期経営改善計画の策定支援があります。中小企業がまず手を付けるべきところはどこか、活用すべき支援は何か、改めて整理ができましたので、本講座のテキストをバイブルとしてこれらの場で活用していけるよう精進していきます。
第二講座は商工相談員や中小企業大学校などさまざまな場で創業支援に携わってきた平澤明会員による「創業支援の実際」です。創業支援に関するレクチャーを受講後、平澤会員が扮する飲食店創業希望者と私たち受講者が三チームに分かれ、相談員として面談形式でロールプレイが行われました。
配布された事前情報をもとにチームごとに作戦会議を行い初回面談に臨みます。「銀行はお金出してくれますかね?」「そうできるようご支援したいと思います。」という会話からスタートした面談ですが、想定外の回答も多くなかなか思うようにヒヤリングができません。一度目の面談後、ヒヤリングしきれなかった情報も加えて、改めてチーム毎に課題を整理しました。限られた時間内で、これまでの講座での学びや商店街診断で培ったチーム力を発揮し、メンバーそれぞれのアイデアを活発な議論を通じてかたちになるまで昇華させます。結果として、二度目の面談では各チームがそれぞれ相談者に特徴ある提言を行うことができました。
実務においてはそれぞれの決意と不安とを抱えた創業予定者を、少ない回数のなかでしっかりとサポートしていく必要があります。創業希望者が本当にやりたいことと、そのためにやらなくてはならないことを明確にしていくために、基本的なSWOT分析を用いて状況を整理し、わかりやすく相手に伝えていくことの大切さと効果を改めて感じました。
今回の講座はいずれも講師のお二人の豊富な経験に基づく知見を惜しみなくご提供いただけ、感謝の念に堪えません。また、講座を通じて、経営者の信頼できる伴走者である診断士の役割と責任についてより明確に理解できたと感じています。これらの学びを実務に活かしていきたいと決意を新たにした一日となりました。