城南支部国際部 2024年度 城南国際オープンセミナーに参加して

「地域産品を活かす 海外市場開拓メソッド ~事例でつかむ地域産業の国際化 インバウンドとアウトバンド~」
城南支部 清水 克博
城南支部による2024年度第2回国際オープンセミナーが、2025年3月29日に会場・オンラインのハイブリッドにて開催されました。今回は、一般社団法人ジャパンプロモーション(東京都渋谷区)の代表理事 生島儀尊様を講師としてお迎えしお話を伺いました。
同法人では、日本文化とその担い手の活動を支援する事業に取り組まれており、ワンストップでの海外展開サポートのほか、インバウンド促進サポ-ト、日本文化イベントプロデュースなど様々な事業を展開されています。本セミナーでは、その豊富な支援事例を交えて、地域産品を活かした海外市場開拓の手法や秘訣をご教示いただきました。
(セミナー内容)
講演ではまず、海外展開、海外出展支援の成功事例として、日本の自治体、伝統工芸品・食品関連企業、個人事業主による海外出展での売上増加やインバウンド波及などについてご紹介いただきました。海外展示会場として欧州・アジア・中東などに多くの会場があり、地域ごとにも特徴があることや多くの熱心な日本ファンがいることがわかりました。
次に、海外展開における成功の段階や秘訣などについてご説明いただきました。BtoC展示会とBtoB展示会における手順やメリット・デメリットの違い、よくある失敗事例など海外市場開拓の概要やポイントがよく分りました。とくに海外出展における海外特有の問題である国際輸送や通訳の問題などについては、現場での困りごとがリアルに思い浮かぶようで臨調感のある内容でした。
さらに、展示会出展で必要となる業務についてご説明をいただきました。海外で展示会に出展するためには、単に主催者に申し込んで、現地に商品を伴って乗り込むだけという訳にはいかず、ブース設営、集客、決済、現地スタッフ確保、税務対応など必要な業務は多岐に渡ります。そのため、初めて海外展開をされる中小企業は、支援者を上手に活用することが重要に感じました。
最後に、その他の海外市場開拓手法として、海外展示会や店舗でのテストマーケティング、海外向けのWebsite制作と幅広くご説明をいただきました。
(まとめ)
日本市場は、多くの分野で人口減少に伴う市場規模の縮小というリスクを抱えています。一方で、海外では世界人口の増加や新興国の生活水準向上と市場規模が拡大していることに加え、訪日観光客もコロナ禍収束後に急速に回復しています。このような環境下において、海外市場開拓やインバウンドの取り込みは、中小企業にとっても人口減少対策や事業拡大の有力な手段の一つとして重要な役割があると考えられます。
また、生島代表は、日本文化というのは世界中で関心が高いことや、日本ブームはブームではなく、もう、一つのライフスタイルであると指摘されていました。日本ブームというと、まずアニメ・漫画や寿司、ラーメンなどをイメージされる方も多いかもしれませんが、実際には地域産品である伝統工芸品や農産物なども大変人気があるとのことです。日本文化が思っていた以上に世界中から関心や支持を集めているとのことを知り、感銘を受けました。
この強みを、中小企業の海外市場開拓やインバウンド集客にもっと有効に活かすことができないか。そのための貴重な情報を、本セミナーでは得ることができたように思います。