【令和6年度社会貢献事業】食品業界研究会 物流研究分科会の取組み
食品業界研究会では定例の活動に加え、会員有志が集まって関心のあるテーマを研究し、その成果を診断に結び付ける分科会活動を行っています。
そのうち、物流研究分科会は2022年度から活動を開始しており、昨年度から社会貢献事業の取組みとして「食品のサプライチェーンにおける2024年問題」をテーマに研究、情報発信を行っています。
2024年は物流の2024年問題の原因である労働時間の上限規制の適用が開始されました。
そこで、今年度の社会貢献事業については、食品関係のサプライチェーンの各段階の事業者において2024年問題がどのような影響を与えているのか状況を調査、確認し、より具体的な対応策を中小事業者に対し発信していくこととしています。
○物流業界のトレンドの研究
政府が発表した「物流革新に向けた政策パッケージ」や各業界での標準化の取組みについて、昨年度から研究を進めていますが、物流に関係する標準化は大手企業が主体となっています。物流業界のトレンドを把握するため、大手物流企業の物流センターの見学や企業の取組み状況について、ヒアリングを行いました。
・ヤマトグループ 羽田クロノゲート 見学会
猛暑の中、物流研究分科会のメンバーで東京都大田区にあるヤマトグループの物流センター「クロノゲート」の見学会に参加しました。
1919年の創業からの歴史、現在の取組みなどの説明を受けた後、1階、2階にある巨大な仕分け場所を見学、その規模と無人で高速な作業風景に驚きました。
その他、医療器具の洗浄・配送や電化製品の修理対応などの付加価値サービスの紹介を受け、先進的な取組みを学ぶことができました。
中小事業者にとって、このような大手物流企業による巨大な施設で効率的な物流の推進と同じ取組みは困難ですが、積極的な活用や連携を行うことで効率化につながる可能性も高く、具体的な活用方法の検討を進めています。
○中小事業者の取組みの把握
中小事業者の取組みの把握として、2024年問題の影響についてのヒアリングを実施しています。現状では運賃値上げ要望や配送に係る日数の変更への対応が必要となっており、収支への影響が出つつあるとのことです。
一方で、取引先にリードタイムの変更を要望し配送の効率化を図ることができているケースもあり、自社や商品の強みを活かした交渉力の発揮など中小企業の底力を感じることができました。
引き続き、メーカーや卸売業、小売業などサプライチェーンの各段階の事業者へのヒアリングを実施し、対応状況の情報発信に取組んでいきます。
・中規模運送事業者の取組み講演
昨年まで現役でグループ子会社の中規模運送事業者で社長を務められていた中小企業診断士の方の取組み事例をお聞きしました。
パレットの活用など物流業界で以前から課題となっている標準化の取組みについて、実際の現場での困難な状況をお聞きし大手企業との差を再認識するとともに、特に運送コストの正確な把握による利益管理が重要であることをお聞きし、コスト管理の計算方法の提供など新たな支援のポイントを確認することができました。
食品業界における物流の2024年問題はまだ始まったばかりです。具体的な取組みを情報収集しながら、食品業界のさまざまな中小事業者のためになる支援施策の研究を進めていきます。
食品業界研究会 物流分科会 ホームページ https://afri20210429.wixsite.com/logistic