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「VTS:対話型アート鑑賞」ワークショップ体験レポート

城南支部 西山 博貢

11月5日(土)、城南支部会員部による「VTS:対話型アート鑑賞」体験イベントがリアル開催されました。舞台はまるで公園のような都会のオアシス「丸の内ストリートギャラリー」。当日は7~8名のグループに分かれ、アート・コミュニケーターの先生方によるファシリテートの下、近代彫刻や世界で活躍する現代アーティストの作品を対象にVTSセッションが行われました。

VTS(Visual Thinking Strategy)とは、1980年代にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された美術鑑賞法です。VTSの目的は、観察力・思考力・言語化能力を養うこと。主に教育現場において実践されてきた手法ですが、効率を追求するだけでは生き残れない時代背景から、近年では経営者やエグゼクティブの能力開発手法としても注目を集めています。

VTS:対話型アート鑑賞

体験したVTSセッションの手順は以下の通り。
① 観る:言語情報に頼らずに、さまざまな距離・角度から作品をじっくりと観察します。
② 考える:作品の環境・モチーフ・色・形・素材などから気づきや違和感を発見。直観と考察により、その作品の意味、ストーリーや背景を想像します。
③話す:自分が観て・感じ・考えたことを言語化し、メンバーに共有します
④聴く:メンバーによる共有を集中して聴くことで、自分になかった着眼点や発想をインプットします。

このように、作品をよく観て、感じたことを言葉にし、共有し合うセッションを3~4回繰り返しました。実際に参加してみると、自分と他の方とのものを観るレンズの違いがよく分わかり、自分の思考の特徴を客観視する機会になりました。また、日々の仕事においては目的に集中するがあまり盲目的になってしまい、気にも留めず見過ごしてしまっている大事なヒントが無数に存在するであろうことにも気づかされました。

VTSでは、解釈が自由なアート作品を前に、これまで培ってきた知識・理論が通用しません。法則がない中で「どのように意味・文脈を与えるのか?」という問いを突き付つけられます。本セッションでも、物質・形状的な特徴や、身近な物事との類似性に着目する意見こそ多数挙あがりましたが、その作品に「意味を見出す」作業についてはそう簡単にはいきませんでした。しかし、終盤では自由な発想の意見・アイデアが活発に交換されるようになり、あっという間に終了時間に。多様なバックグラウンドをもつ方同士がストレートに思考や感覚を共有し合えたことで、異なる視点を取り入れることができたのではないかと思います。

熊の像

このような抽象化思考のトレーニングを重ねていけば、事業・サービスの盲点や本質に気付づける可能性が高まっていくと思われ、経営支援にも応用できそうです。「形のないものに形があったら?」「作品を組織や人格として捉えたら?」などと角度を変えた問いを立てることによっても、また違った発見があるかもしれません。

このイベントを通して、枠にとらわれないものの見方を養うコツを楽しく学ぶことができました。企画してくださった事務局の皆様、気づきをいただいた講師・参加者の皆様、ありがとうございました。

 

参加者一同

 

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